近年、博物館には展示・教育活動をはじめ、その社会的な役割を果たすことが以前よりも強く求められています。その活動を評価するため、来館者数の記録や、アンケート調査などを実施しています。しかし、来館者数からは来館者の属性までは分からず、留置式のアンケート調査では、来館者の数%ほどの意見・感想しか得ることができません。
博物館が自館の活動を評価し、今後の活動方針を定める上で自館の来館者の基礎情報を知ることは、基本的かつ重要なデータの一つです。理想的には全ての来館者の情報の記録と集計を行って詳細に分析することが望まれますが、日々の業務の中で、これらを実現するのは困難です。
「来館者分析ツール」は、博物館のスタッフが日々の業務の傍らで、ほぼ全数の来館者の基礎的な情報を、収集・集計するためのツールであり、博物館が来館者について簡単かつ多角的に分析できるように開発されています。
「来館者分析ツール」は、次の図に示すように、博物館で来館者の記録を収集する「来館者記録ツール」と、クラウドでその記録を集計・可視化する「来館者分析ツール」で構成されています。
「来館者分析ツール」を使用した来館者調査の流れは以下の通りです。
① 「来館者記録ツール」で来館者を記録する
・据え置き型の専用機器である「来館者記録ツール」を貸し出します。
・本ツールは、タッチパネルで操作する機器であり、簡単に来館者を記録できるように設計されています。
・受付のご担当者にこのツールを使用して来館者の基礎的な情報を記録していただきます。
・入力いただいた記録は携帯電話の回線を通して、クラウド上に保存されます。
② 「来館者分析ツール」で集計結果を確認する
・収集した来館者の記録は、クラウド上で自動で集計・可視化され、本サイト内の「来館者分析ツール」ですぐに確認できます。
・具体的には来館者の属性や滞在時間等を、企画展別、期間別に比較することで、来館者の特徴を把握することができます。
・その結果を基に、自館の企画展等の活動が、想定した来館者ターゲットに訴求したのか、どのような来館者の関心を集めたのかを考察することができます。

「来館者記録ツール」は、据え置きのタッチパネル付きの機器です。
来館者の基礎的な情報(年代・性別・住まい・来館時の人数・入退館時刻等)を簡単に入力することができます。
「来館者記録ツール」には、SIMカードが搭載されており、入力された来館者の記録をクラウドに自動で送信します。
「来館者記録ツール」は、来館者の負担を軽減するために、受付のご担当者に操作していただきます。
以下が、「来館者記録ツール」を使った来館者の基礎情報の記録の流れです。
① グループのボタンを選択
・「来館者記録ツール」のメイン画面は右図のようなっています。
・1つのグループが、1つの来館者のグループに対応しており、同時に10組の来館者のグループを記録できます。
・来館者の受付時に、グループのボタンを1つ選択します。
② 来館時の人数(グループ人数)を入力
・来館者が何人で来館しているのかを選択します。
※本ツールでは、グループ人数が8人までの来館者を対象として記録します。
③ 来館者の基礎情報を入力
・来館者の年代と性別を来館者の外見から判断し、ツールに入力します。
※
見た目で判断する理由は、来館者への質問を少なくし、来館者の負担を小さくするためです。可能であれば直接、来館者に質問していただいても問題ありません。
④ 来館者の「住まい」を入力
・「本日はどちらからお越しですか。」や「アンケートにご協力お願いします。」のような問いかけで、来館者の住まいを口頭で尋ねます。
・「住まい」は、館が所在する市区町村、同一都道府県内のその他の地域、その他の各都道府県に区分して記録します(カスタマイズ可)。
※
要望に応じて、「来館回数」をはじめとする、他の質問の追加もできます。
⑤ 入力した内容を確認
・入力した内容が正しいことを確認します。
※ 退館処理をする前であれば、いつでも内容を修正できます。
⑥ メイン画面へ戻る
・「メイン画面に戻る」のボタンを押します。
・このとき、入力された来館者の情報と、入館時刻がツール内に保持されます。
・メイン画面では、来館者を登録したグループの色が変わり、「見学中」の表示になります。
⑦「退館」のボタンを押す
・来館者が退館したタイミングで、その来館者のグループを選択し、「退館」のボタンを押します。なお、来館者の退館に気付かなかったときは、「来館時刻不明」のボタンを押します。
・このとき、退館時刻と合わせて来館者の記録が自動でクラウドに保存されます。
集計の例として、市立小樽文学館で実際に収集した来館者の記録について、集計結果をご覧いただけます。
特別展「歿後50年 伊藤整と北海道展」のデータの概要
開催期間: 2019-10-05 ~ 2019-11-24
年代・性別と来館時の人数
住まい(8地方区分+海外)
見学時間